情熱プログラマー

 『情熱プログラマー*1』という本を読んだ。「ソフトウェア開発者の幸せな生き方」という副題が示しているように、ソフトウェア開発者として幸せな人生を送ることをテーマにしたエッセイ集だ。同じ著者による2006年の『My Job Went To India オフショア時代のソフトウェア開発者サバイバルガイド』を改訂改題したもので、一部内容が重複しているらしい(自分は『My Job〜』を読んでいないので、詳しくは分からない)。印象深かったエッセイのタイトルをいくつか挙げてみよう。
「一番の下手くそでいよう」 - 自分より優れた人たちとの仕事を通して、よい影響を受けて成長することができる。

「万能選手になろう」「スペシャリストになろう」 - この二つは背反しない。前者は、一つの技術しか知らなければ、その技術が廃れたときに自分自身も陳腐化するという意味だ。後者は、スペシャリストとは一つの技術しか知らないことではなく、その技術については権威である、という意味だ。 --- 恥ずかしながら、自分はどちらにも達していない。

「一に練習、二に練習」 - プロのミュージシャンやスポーツ選手は本番で自分を限界ぎりぎりまで追い込んだりはしない。それは手抜きなのではなく、彼らの報酬は客前での完璧なプレイに対して払われているのであって、練習に対してではないからだ。言うまでもなく、本番と本番の間にはそれこそ必死でトレーニングを積んでいる。それはソフトウェア開発者だって同じではないだろうか? --- 10年以上前には自分も同じことを考えていたはずだが、いつの間にか忘れていたようだ。

 読み終えた後で、自分にはまだまだ情熱を注ぎ込む余地があるのではないかと考えさせられてしまった。しかし、読んで落ち込むための本ではない。自分に足りないもの・忘れていたものがあると分かれば修正すればよいだけのこと。冒頭にも書いた通り、この本は、幸せな生き方をするためのノウハウが詰まった本なのだ。

*1:Chad Fowler著 でびあんぐる監訳『情熱プログラマーオーム社, 2010